問い合わせが増えない原因チェックリスト20選【B2Bサイト改善ガイド】
「Webサイトからの問い合わせが増えない」──B2Bビジネスを展開する企業にとって、これは切実な課題です。広告費をかけてアクセスは増やしているのに、肝心の問い合わせやリードにつながらない。あるいは、問い合わせはあるものの、質が低く商談にならない。
こうした状況に陥る原因は、実は多岐にわたります。単に「フォームの見た目が悪い」「CTAボタンが目立たない」といった表面的な問題だけでなく、集客の質、メッセージの伝え方、サイト構造、信頼性の欠如、運用体制の不備など、様々な要因が複合的に絡み合っているのです。
本記事では、B2BサイトでWeb問い合わせが増えない原因を20項目のチェックリストとして整理し、それぞれの症状・原因・確認方法・対策を詳しく解説します。まずは自社サイトがどこに課題を抱えているかを見極め、優先度の高い施策から取り組んでいきましょう。
💡 この記事の結論
まず「流入数とコンバージョン計測の設定」を確認しましょう。問い合わせが増えない原因は多岐にわたりますが、最初に「サイトへの訪問者数」と「問い合わせの計測状況」をチェックするのが重要です。そもそも十分な訪問者がいなければCVは増えませんし、計測漏れがあると正しい原因分析ができないからです。
問い合わせが増えない原因チェックリスト20(カテゴリ別)
以下は、B2BサイトでWeb問い合わせが増えない主な原因を6つのカテゴリに分類したチェックリストです。まずは全体像を把握するために、各原因と対応するカテゴリを確認してください。
| No. | カテゴリ | 原因 |
|---|---|---|
| 1 | A) 集客 | 訪問者数不足 |
| 2 | A) 集客 | 流入の質が低い |
| 3 | A) 集客 | 検索意図ミスマッチ |
| 4 | B) 訴求 | 価値提案が不明瞭 |
| 5 | B) 訴求 | 差別化要素がない |
| 6 | B) 訴求 | ベネフィット不明 |
| 7 | C) 導線/UX | サイト構造の不備 |
| 8 | C) 導線/UX | CTA不足・不明 |
| 9 | C) 導線/UX | サイト高速化・モバイル未対応 |
| 10 | C) 導線/UX | コンテンツ不足 |
| 11 | D) フォーム | 入力項目過多 |
| 12 | D) フォーム | フォームの不具合・エラー |
| 13 | D) フォーム | 確認ステップの摩擦 |
| 14 | D) フォーム | 心理的抵抗 |
| 15 | E) 信頼/不安 | 実績・証拠の欠如 |
| 16 | E) 信頼/不安 | 料金不透明 |
| 17 | E) 信頼/不安 | 信頼性不足 |
| 18 | F) 計測/運用 | コンバージョン計測漏れ |
| 19 | F) 計測/運用 | リード管理不足 |
| 20 | F) 計測/運用 | 対応の遅さ |
これらの原因は相互に関連しており、複数の要因が重なって問い合わせ減少を引き起こしているケースがほとんどです。次のセクションから、各原因について詳しく見ていきましょう。
A) 集客(流入)の問題
まずは「そもそもサイトに十分な訪問者が来ているか」「来ている訪問者は自社のターゲットか」という流入の量と質に関する問題です。
1. 訪問者数不足(集客の量が足りない)
■ 症状
Googleアナリティクスでサイト訪問者数(ユーザー数・セッション数)が業界規模に比べ極端に少ない。広告出稿もしておらず、オーガニック検索流入も限定的。問い合わせ数以前にサイトアクセス自体が少ない状態。
■ なぜ起きる
単純に母数不足です。B2Bサイトの平均CVR(コンバージョン率)は業種にもよりますが2~5%程度とも言われます。仮にCVRが5%でも、月間訪問100人では5件の問い合わせがやっとです。流入が少なければ質が高くてもCV件数は増えません。
■ 確認方法
- GA4で訪問者数を確認: 「ユーザー数」「セッション数」の推移を見て、必要な分母があるか確認します。業界平均CVRから逆算して、目標CV件数に足るアクセスがあるか判断します
- Search Consoleで掲載状況確認: 自サイトが検索結果にどの程度表示・クリックされているかを見ます
■ すぐできる対策(当日〜1週間)
- 既存チャネルの拡散(SNS、メールリスト活用)
- 小額の広告出稿テスト
■ 根本対策(設計・運用)
- SEOとコンテンツ戦略: 主力サービスに関連するキーワードで検索流入を増やすため、中長期でコンテンツを拡充
- 集客チャネル多角化: オーガニック検索だけでなく、業界コミュニティやイベント、パートナー企業からの送客など複数チャネル確保
- KPI設定とモニタリング: 「訪問者数 → 問い合わせ数」の率を常に計測し、流入を増やす施策を回し続ける
2. 流入の質が低い(見込み客でないユーザーばかり)
■ 症状
サイト訪問はある程度あるものの、問い合わせに繋がらないトラフィックが多い。具体的には直帰率や平均閲覧時間が悪かったり、CVRが極端に低いチャネル・キャンペーンが存在する。
■ なぜ起きる
ターゲティングの不備により、自社サービスと関連性の低いユーザーを集めてしまっています。例えば広告の出稿設定が広すぎて無関係な業種・課題の人々がクリックしていたり、コンテンツSEOで書いた記事が自社サービスとは関係ない検索意図で集客している場合です。
■ 確認方法
- GA4でチャネル別CVR確認: 「集客」レポートで流入元ごとのコンバージョン率やエンゲージメント率を見る
- Search Consoleで検索クエリ確認: ユーザーがどんなキーワードで来ているかを確認
- ヒートマップ/セッション記録: 流入元ごとにユーザー行動を観察
■ すぐできる対策
- 広告ターゲティングの絞り込み(除外キーワード追加)
- ランディングページ調整(関連サービスへのCTA追加)
■ 根本対策
- ペルソナ再定義と集客戦略見直し: 誰を見込み客とするかを社内で再確認し、集客施策を練り直す
- コンテンツの見込み客寄りへの調整: 自社サービス文脈に近いテーマにシフト
- 定期的な流入質のモニタリング: CRM上で「どの施策から来たリードが成約したか」を分析
3. 検索意図ミスマッチ(キーワードとページ内容の不一致)
■ 症状
オーガニック検索からサイトに訪れたユーザーの直帰率が非常に高い、または滞在時間が極端に短い。特定のランディングページだけ直帰率80〜90%超えなどの状況が見られる。
■ なぜ起きる
ユーザーの検索意図を満たせていないためです。検索エンジン経由の訪問者は、検索キーワードに対して明確なニーズや期待があります。それにページ内容が応えていないと「探していたものと違う」と判断し、すぐ離脱します。
■ 確認方法
- Search Consoleでクエリ分析: どんな検索クエリで来訪しているかを確認し、そのクエリ群とランディングページの内容を照らし合わせる
- GA4で直帰率・離脱率確認: 特に検索流入の多いランディングページについて確認
- SERP(検索結果画面)を目視: 該当の検索キーワードで実際にGoogle検索を行い、自社ページのタイトルやディスクリプション文を確認
■ すぐできる対策
- メタ情報(タイトル/説明)の修正
- 重要情報の即時追記(料金、FAQ等)
■ 根本対策
- コンテンツの検索意図適合を最優先: 狙うキーワードの検索意図を綿密に分析し、その情報をページ冒頭から提示
- 既存ページの意図別再編: 複数の検索意図が一つのページに混在している場合、ページを分割
- 定期的なSERPモニタリング: 重要キーワードについて、検索順位だけでなく他社ページの構成や提供情報も定期ウォッチ
B) 訴求(メッセージ)の問題
訪問者は来ているが、サイト上でのメッセージが適切に伝わっていないケースです。
4. 価値提案が不明瞭
ファーストビューで「何を提供している会社なのか」が分からず、訪問者が離脱してしまう状態です。対策として、明確なキャッチコピーの設置とユーザーメリットの可視化が重要です。
5. 差別化要素がない
競合との違いが分からないため、問い合わせに至らないケース。USP(独自の売り)の明示と実績・受賞歴の掲載で信頼性を高めましょう。
6. ベネフィット不明
機能は書いてあるが、ユーザーにとってのメリットが伝わらない。「○○削減」「○○向上」など具体的な成果数値と顧客事例を掲載することが効果的です。
C) 導線・ユーザー体験(UX)の問題
7. サイト構造の不備
必要な情報に辿り着けない設計になっている。内部リンクの強化とグローバルナビの最適化で改善します。
8. CTA不足・不明
問い合わせボタンが目立たない、または設置されていない。各ページに明確なCTAを配置し、ボタンの色・文言を最適化しましょう。
9. サイト高速化・モバイル未対応
ページ表示が遅い、スマホで見にくいと離脱率が上がります。PageSpeed Insightsで計測し、画像圧縮やレスポンシブ対応を実施します。
10. コンテンツ不足
判断材料となる情報(料金・事例・FAQ等)が不足している。顧客がよく聞く質問を洗い出し、それに答えるコンテンツを充実させます。
D) フォームの問題
11. 入力項目過多
フォームの項目が多すぎて途中離脱される。必須項目は最小限(名前・連絡先・簡単な内容のみ)に絞り、詳細は後でヒアリングします。
12. フォームの不具合・エラー
送信エラーやエラーメッセージが分かりにくい。複数ブラウザでテストし、エラー文言を具体的に改善します。
13. 確認ステップの摩擦
確認画面で離脱される。可能なら確認画面を省略し、送信を1ステップで完了させます。
14. 心理的抵抗
個人情報入力への不安。SSL化・プライバシーポリシー明示で安心感を与えます。
E) 信頼・不安要素の問題
15. 実績・証拠の欠如
導入事例やレビューがないと信用されない。顧客の声・導入企業ロゴを掲載し、社会的証明を示します。
16. 料金不透明
価格が分からないと問い合わせを躊躇する。料金プランページを作成し、最低価格帯や課金モデルを明示します。
17. 信頼性不足
会社情報やセキュリティ対策が不明瞭。会社概要の充実とセキュリティ認証の表示で信頼性を高めます。
F) 計測・運用上の問題
18. コンバージョン計測漏れ
GA4でコンバージョンが正しく計測されていない。キーイベントを設定し、フォーム送信をトラッキングします。
19. リード管理不足
問い合わせ後のフォローが不十分。CRM導入とナーチャリング施策で長期的に育成します。
20. 対応の遅さ
返信が遅く機会損失している。即時通知システムと1時間以内返信ルールを設定し、初動を早めます。
最初の30分でできる切り分け手順
以下の手順で、優先的に改善すべきポイントを特定しましょう:
- GA4でアクセス数とCV数を確認: 訪問者が極端に少ないなら「A. 集客」が課題
- CV計測設定をチェック: GA4でキーイベントが設定されているか確認
- チャネル別CVRを確認: 特定チャネルだけCVRが低いなら「流入の質」が問題
- ランディングページの直帰率確認: 高ければ「B. 訴求」「C. 導線」を疑う
- フォームをテスト送信: 送信できない・項目が多すぎるなら「D. フォーム」を改善
- 信頼要素をチェック: SSL・会社情報・実績が無ければ「E. 信頼」が不足
- 返信速度を確認: 平均返信時間が1日以上なら「F. 運用」が課題
会場ビジネスでの具体例
事例1: 貸し会議室A社 – 料金非公開が足枷に
サイトに会場の料金が一切載っておらず、ユーザーは「高そう」「問い合わせたら営業がしつこそう」と敬遠していました。競合の会場サイトは時間単位の料金目安を提示していたため、A社サイトは比較検討から外されがちでした。
対策: 「料金プラン」ページを新設し、小会議室1時間5000円~など最低価格を明示。実績として利用企業の一覧や写真ギャラリーも掲載した結果、問い合わせ件数は1.5倍に増加しました。
事例2: イベントホールB社 – フォーム簡略化で成功
Web経由の問い合わせが月数件と少なく、会場稼働率が伸び悩んでいました。分析すると、フォーム項目の多さと対応遅延が原因でした。B社のフォームはイベント詳細から希望レイアウト図まで10項目以上必須で、ユーザーに大きな負担をかけていました。
対策: フォーム必須項目をお名前・連絡先・希望日程程度に大幅削減し、詳細は後でヒアリングする運用に転換。さらに当日中返信を徹底した結果、フォーム完了率は向上し、問い合わせ件数は2倍以上に増加しました。
まとめ – チェックリストを活用して継続改善を
本記事では、B2BサイトでWeb問い合わせが増えない原因を20項目のチェックリストとして紹介しました。重要なのは、まず現状を正確に把握し、ボトルネックとなっている箇所から優先的に改善することです。
特に最初にチェックすべきは:
- 流入数: そもそも十分な訪問者がいるか
- 計測設定: GA4でコンバージョンが正しく計測されているか
- フォーム: 入力項目が多すぎないか、送信できるか
- 返信速度: 問い合わせへの初回対応が遅すぎないか
これらの基本を押さえた上で、価値提案の明確化、差別化要素の強調、信頼性の向上といった施策を段階的に実施していきましょう。小さな改善の積み重ねが、着実な問い合わせ増加につながります。
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問い合わせを獲得した後の指標管理については、「B2BサイトのCVR改善とは?最初に見るべき3指標と優先順位」も合わせてご覧ください。
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